株式会社ジーンケア研究所
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開発中の抗がん剤「RECQL1-siRNA/LNP」について(一般の方向け)

Q1:ジーンケアはどんな医薬を作っているベンチャー企業なのか?

A1:「核酸医薬」という分野の抗がん剤を作っています。

 抗がん剤には、わかりやすくいうと以下のような3種類があります。

(1)一般的な抗がん剤

 がん細胞を、殺虫剤で殺すイメージです。がん細胞も死滅しますが、正常細胞も死滅してしまいます。正常細胞にも影響=副作用が大きいことが問題点です。

(2)抗体医薬

 がん細胞は、もともと持っている人間の免疫作用で攻撃することができます。

しかし、がん細胞は免疫作用から「攻撃されないような仕組み」を持っていて、この攻撃から逃れています。免疫力の力を向上させ(=仕組みを破って)再びがん細胞を攻撃させる薬が「抗体医薬」と呼ばれるものです。  

 問題点は、

  • 薬が非常に高価
  • がん細胞が新しい仕組みを作ると効かなくなる

ということがあげられます。

(3)核酸医薬

 細胞は、増えるために「細胞分裂」をします。細胞分裂の過程でなにかしらの異常が起こってもそれを治す仕組みが備わっています。しかしながら、がん細胞は速いスピードで増殖するために、その仕組みが簡素化されています。この簡素化された仕組みを逆手に取り、がん細胞のみを細胞分裂できないようにする(=増殖できないようにする)のがジーンケアの「核酸医薬」です。

 ジーンケアは、このような新しい「抗がん剤」の開発を行っています。

 

Q2:核酸医薬は何故効くのか?

A2:がん細胞の細胞分裂をストップさせます。

 どの細胞も、数を増やすために「細胞分裂」をします。

細胞分裂するときには、細胞核の遺伝子の情報を正確にコピーしなければいけません。分裂する細胞は、コピーを間違いなくするために、1)コピーが正確に行われたかどうかをチェックする、2)コピーが間違っていれば修復する、といった機能を持っています。

 コピーが正常に行われたかどうかをチェックするために、細胞にはチェックポイントとなるべき「障壁」があります。しかし、がん細胞は増殖スピードを速くしたいので、情報コピー機能が単純化され、チェックポイントとなるべき障壁が正常細胞に比べて甘くなる特徴があります。

 この「がん細胞は、チェック機能が弱い」という特徴は、「コピーの間違いがあっても、見つけられない」ということにつながります。

 がん細胞のコピーを邪魔して、コピーの間違いを起こさせる薬がジーンケアの「核酸医薬」です。チェックする障壁も低いので、間違いは修復されずにそのまま残されてしまいます。うまく分裂が完了できないがん細胞は、どうすることもできずに自然死してしまいます。分かりやすく言えば「がん細胞が増殖できずに死ぬことで、がんをやっつける」ことになります。

 さらに、正常細胞はチェックポイントとなる障壁が高く、間違いを正しくなおすまで次の段階に進めません。つまり、正常細胞では、間違いが見つかるといろいろな手段を使って修復し、細胞分裂を正しく完了させることができるのです。このため、正常細胞では影響がほとんどみられません。(副作用がほとんどありません。)また、薬自体が抗体医薬に比べて安定しており、安価に製造することが可能です。

 

Q3:核酸医薬を活用するために必要なことは?

A3:DDSが必要です。

核酸医薬でがんを殺すには、

  1. 核酸医薬をがん細胞の中に入れる
  2. がん細胞が細胞分裂をする
  3. コピーが邪魔され細胞分裂がうまくできないのでがん細胞が自然死する

という順序をとります。

 核酸医薬で特に重要となるのが、1の「薬をがん細胞に入れる、つまりがん細胞の細胞質に届ける」ことです。

 核酸医薬をそのまま体に入れても無くなってしまうので、薬をがん細胞に届けるためには「あんころもちの皮」のような薬を包むカプセルが必要になります。これをDDS(Drug Delivery System=薬を届ける仕組み)と言います。

 ジーンケアの核酸医薬は、良いDDSを見つけないとがん細胞に届かないのです。この20年近くの間、良いDDSを探し、そしてDDSの上手な使い方を探してきました。そしてやっと、良いDDSと良いDDSの使い方が見つかりました。

 

Q4:新たに見つかった「画期的な投与方法」 とは

A4:腹腔内に局所投与します。

 現在使っているDDSは、静脈注射(全身投与)では使えません。静脈注射するとすぐ肝臓に届けられてしまいます。すると、すい臓などに負担がかかってしまうのです。このため、これまでの治療方法である静脈注射ではこのDDSは使えませんでした。

 しかし、最近、「たまっている腹水に直接注射すればいいのではないか?」という新しい方法が発見され、研究が進められています。

 いくつかのがんでは、腹膜にがん細胞がくっつき、腹膜でがん細胞の増殖が進むと腹水が溜まってきます。この溜まった腹水に、DDSで包んだジーンケアの核酸医薬を注射するのです。

 このように、「抗がん剤の局所投与」という新しいがん攻撃方法を開発しています。

 腹腔内投与では、薬が全身に回らず、腹膜内のがん細胞に高い濃度で長い時間効きます。このことは、すでにマウスを用いた実験でも証明されています。

 では、どんながんが腹水につながっているのでしょうか?そしてどんながんが、この投与方法で治せる可能性があるのでしょうか?

 

 まず、最初の標的は、卵巣がんです。卵巣がんは、最初は通常の抗がん剤で治るのですが、何年後かにがんが再発するとそれまで使っていた抗がん剤が、ほとんど効かなくなります。また、いくつかのがんのタイプでは初めから抗がん剤が効かないものもあります。しかし、ジーンケアの開発している「核酸医薬の抗がん剤」はこのような方に、新しい可能性を提供します。さらに、大腸がんなどでも進行が進むと腹水が溜まってくるのでこの治療方法が使える可能性があります。

 

Q5:ジーンケアの抗がん剤を完成させる今後のプロセスは?

A5:薬が開発される順序を説明します。

 薬を完成させるためには、いくつかの段階で順を追って試験をする必要があります。試験で調べることは主に

  1. 薬が効くか? (がん細胞を殺せるかどうか)
  2. 副作用が大きくないか? (副作用が大きすぎると、薬にならない)

の2つです。

 ジーンケアの薬は、まずマウスでは問題ありませんでした。次はサルで試験します。

ここで問題が無ければ、人で試験します。(人での試験のことを「臨床試験」と言います。)

(1)動物での試験

 来年の春から、試験を始める予定です。予算は5億円かかります。すでにマウスではその効果や安全性を確認していますが、より人に近いサルを用いて確認します。核酸医薬のがん細胞への効果は、その仕組みから、より良い成果が出ると確信しています。

(2)人での臨床試験

 動物の試験で問題がなければ、次は人で試験できます。うまくいけば、2年後に試験が開始されます。すでに、がん治療の中核病院が、人での臨床試験に協力してくれることになっています。

 臨床試験は、3段階あって、それぞれフェーズ1、フェーズ2、フェーズ3と言います。フェーズ1には、約15億円の資金が必要です。フェーズ3の試験まで合格すれば、薬として認められることになります。但し、フェーズ2〜フェーズ3の試験を行うのは、ジーンケアだけでは不可能です。製薬企業との共同事業になります。(通常、フェーズ1の試験結果が良ければ、製薬会社から共同事業の申し込みがくると言われています)

 

Q6:ジーンケアの抗がん剤の社会的意義は

A6:

 腹水の溜まった患者さんは、食事がとれなくなり、呼吸も苦しくなり、歩行も困難になります。卵巣がんは、女性の尊厳にも支障が生じます。しかしながら現在のところ抜本的な治療方法はなく、腹水を抜くしか方法はありません。

 しかし腹水を抜くと、栄養分や免疫成分も抜かれて他の病気も発症するリスクが高まります。にも拘わらず「つらいから腹水を抜いてほしい」と医師に要望されるそうです。医師も、つらいと言われます。

「副作用の少ないと評価されているジーンケアの抗がん剤を腹膜の中に局所投与する」

腹水貯留の患者さんに、一日でも早くお届けしたいと願っています。

   

 

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